周産期医療の重要性
2010年 08月 10日
本当に本当に嬉しい!!
リハビリ科の先生にも何日かに一度、四肢の動き等を診ていただいていますが
手の動きがまだ少し鈍い(点滴&身体抑制の影響だそう)以外は
いい動きをしているとのこと。
首すわり等の発達上の遅れについては退院後もフォローが必要なようですが、
ここまで治療に当たってくださった先生方・看護師のみなさん、
そして毎日頑張ってくれた息子に感謝の気持ちでいっぱいです。
今日はとても嬉しい日になりました☆
●救っていただいた命
出産前は、元気で産まれてきて当然と思っていた息子。
それが、このたった数週間の経験を経て、
お産には必ずリスクがつきまとうのだということ、
いかに私たち母子が幸運に恵まれたかということを実感させられています。
分娩入院したとき、分娩監視装置でおなかの中の息子の心拍低下が発覚したとたん、
助産師さんはすぐに院長先生を電話で呼び出してくださり、
院長先生も到着してすぐに緊急帝王切開の決断をしてくださいました。
これが、もし自然分娩にこだわる先生だったなら・・・
そしてあとから母に聞いた話ですが、
分娩台の上で私が助産師さんに手術の準備を施されている間、
院長先生はナースステーションに座り込んで懸命に電話をかけておられたそうです。
私とおなかの中にいる息子の状態を説明し、
新生児科のドクターと保育器を積んだドクターカーを手配してくださったのでした。
院長先生はこの春に私の通っている産院に移ってこられたばかりで、
それまでは総合病院で周産期母子医療センター長をされていた方でした。
きっとこれまでにたくさんのハイリスク分娩を経験されてきたのでしょう。
院長先生のご対応は素晴らしかったと思います。
そしてドクターカーを出してくださった息子の入院先の病院。
思えば、息子が産まれたのは三連休の中日でしかも早朝でした。
そんな、きっと当直医の数も少なかったであろう時間帯に
先生を乗せた救急車を出してくださったことには感謝してもしきれません。
(片道1時間近く離れているのに・・・)
息子は5分後のアプガースコアが3点という重度仮死で産まれました。
重度仮死の場合、どれだけ早く蘇生できるかが予後を大きく左右するそうです。
おなかから出てそのまま新生児科の先生に引き渡され、
その場で気管内挿管等の処置をしていただけたことが、
その後の息子の順調な回復を大きく後押ししてくれたのだと思います。
●実際にあった受け入れ拒否
産院を選ぶ際、元気に産まれてきて当然と思う一方で、
近隣の周産期医療センターとの連携がどうなっているかもいちおうチェックしていました。
そして私の選んだ産院は、隣町にある総合周産期母子医療センターと、
そこを補助する立場である地域周産期母子医療センターの計2施設と
連携して対応にあたっているということでした。
しかし実際にはこの2施設とも、息子を受け入れてはくれませんでした。
理由は、NICU満床。
数年前に都内で妊婦の連続受け入れ拒否による死亡事例がありましたが、
そのときも確かNICUの慢性的な不足が問題になっていたと思います。
今回駆けつけてくれたドクターカーは、産院が連携していた2施設とは別の
今年オープンしたばかりの少し離れた総合周産期母子医療センターからきた車で、
なんとか1床空けてくださり息子を連れて帰ってくださったのでした。
この病院、恥ずかしながら私はその存在すら知らなかったのですが、
NICU24床/GCU48床と新生児病棟としては都内最大規模なんだそうで、
もしこの病院がオープンしていなかったら息子はどうなっていただろう・・・と思います。
●お産はリスクが伴うもの
先にも書いたとおり、出産前はまさかこんな事態になるとは想像もしていませんでした。
実際、陣痛がきた前日に院長先生による妊婦健診を受けており、
そのときはエコーにもNSTにも何の異常も見られなかったのです。
自分はこれまで病気とは無縁だったし体力もあるから、
私の家族も病気とは無縁だから、、
親戚一同見渡してもお産で苦労した人は一人もいないから、、、
そんな根拠にもならない理由で、「自分も絶対問題なく出産できる!」
そう思っていました。
今の時代、医療技術の発展により、
日本の新生児救命率は世界でもトップクラスだと聞きます。
そのせいか、赤ちゃんは元気に産まれてきて当然、
と世間一般に思われている風潮がある気がします。
事実、「お産は危険が伴うから気をつけて!」なんて私は誰からも言われなかった。
でも、実際は分娩が始まる(終わる?)まで何が起こるか分からないもの。
特におなかの中の赤ちゃんの状態を把握するにはまだ限界があるようです。
年々産婦人科の数が減っていく一方で、
低体重出生児や高齢出産などいわゆるハイリスク分娩数は増えている。
NICUを増やすなど周産期医療を充実させる取り組みはなされているようですが、
それでもまだ十分でないのが現状です。
何か緊急事態が発生したときにどんな対応が望めるのか、
産む場所を選ぶ際に私自身がきちんと確認しておくべきだったんだなと
いまさらながらに反省しています(もう産むことはないと思うけどw)。
とにかく息子の命を救うために力を尽くしてくださったみなさんに心から感謝して、
これからの息子との日々を大切にしていきたいと思います。